実家を相続・空き家の売却にかかる税金と控除の種類
不動産を売却していく際にかかる税金の種類や、税金控除の特例とその使用要件についてご紹介します。
実家(不動産)の売却までにかかる4種類の税金
1.相続税
実家(不動産)を相続したときにかかる税金です。金額に応じた税率から計算をして納付するものです。
基礎控除額を下回る場合は、納付する必要はありません。
2.登録免許税
実家(不動産)を自分の名義に変更する際にかかる税金です。
固定資産評価額×0.4%がかかります。
司法書士に依頼する場合は、別途、司法書士への報酬が必要になります。(目安5万~10万円)
3.印紙税
実家(不動産)売却時に行う契約書に貼付する形で支払う税金です。
売却代金に応じて数千円~10万円程度かかります。売却代金が高いほど増えます。(軽減有)
4.譲渡所得税+住民税
実家(不動産)を売却して出た利益係わる税金です。
譲渡所得税は確定申告時に納付し、住民税は後から徴収されます。
利益の約20%~40%の納付が必要になるので、税金控除の特例をいかに利用できるようにするかで大きく納税金額が変わる部分です。
税金控除特例の種類と概要
実家に住みながら売却をする場合
親の介護等で面倒を見ていたけれど、亡くなられたことで広すぎる我が家から買換えしたいというご相談に当てはまります。
実家を相続したときに、自分も住んでいた場合は、居住用財産としてみることができるため、以下の5つの特例が使用できる可能性があります。(税金控除はその時の年度によって使用できる要件が変更されることがあります)
1.取得費加算の特例
取得費が不明(親が何十年前かに購入していて、その金額が不明)の場合は、売却代金の5%が所得から控除されます。
それに加算して納め済みの相続税額の一部を取得費として算入することができる特例で、譲渡所得税を軽減できます。
ただし、相続した実家(不動産)を3年10ヵ月以内に売却する必要があります。
2.居住用財産(マイホーム)の3,000万円特例
自宅を売却する場合、譲渡所得を3,000万円まで控除できます。
取得費加算の特例と併用することができます。
3.小規模宅地等の特例(相続時に使用)
実家が建っていた土地が330㎡以下の場合、その評価額を80%減額ができます。
これは、居住用財産の3,000万円特例と併用ができます。
4.居住用財産の買換え特例
旧自宅を売却し、新しく購入した自宅を売却するまで、譲渡所得税の納付を先送りにできる特例です。
居住用財産の3,000万円控除や住宅ローン減税と併用ができないため注意が必要です。
5.10年以上所有している場合の特例
10年以上住宅を所有していた場合に、売却益に対する譲渡所得の税率が軽減されます。
居住用財産の買換え特例と併用することはできません。
実家には住んでいない場合での売却
実家に親だけが住んでいて、自分は自分たち家族と別の場所に住んでいるケースです。
現在はこちらが一般的なご家庭が多いと思います。
自分が住んでいない実家を相続した場合は、以下の3つの特例が使用できる可能性があります。
1.取得費加算の特例
先ほどと同様です。
納め済みの相続税額の一部を取得費として加算して算入することができる特例で、譲渡所得税を軽減できます。
ただし、相続した実家(不動産)を3年10ヵ月以内に売却する必要があります。
2.相続空き家の3,000万円控除の特例
マンションでの使用はできません。戸建て住宅をイメージしてください。
昭和56年5月31日以前に建築された建物が、相続によって空家になった場合に使用でき、譲渡所得から3,000万円の控除ができます。
3.小規模宅地等の特例(相続時に使用)
先ほどと同様です。
実家が建っていた土地が330㎡以下の場合、その評価額を80%減額ができます。
これは、相続空き家の3,000万円控除の特例と併用ができます。
各特例の使用要件
1.取得費加算の特例
- 相続または遺贈により財産を取得した人であること
- 相続税が課税された人であること
- 亡くなった日から3年10ヵ月以内に譲渡していること
- 確定申告をすること(計算明細書を添付すること)
2.居住用財産(マイホーム)の3,000万円特例
- i.現在住んでいる自宅
ii.引越しをしている場合は、引越し後3年目の年末までの売却であり、土地の売買契約締結が建物解体から1 年以内であり、賃貸にしていないこと
iii.単身赴任の場合は、配偶者が住んでいること - 購入者が親族・夫婦等の特別な関係でないこと
- 売却した年の2年以内に他の特例(特定居住用財産の買換えの特例・居住用財産の買い換え等の場合の譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例・特定居住用財産の譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例を受けていないこと
- その不動産に関して、ほかの特例を受けていないこと
- 災害によって売却する場合、住まなくなった日から3年後の年末までに売却すること
- 確定申告をすること(必要書類有り)
3.小規模宅地等の特例(相続時に使用)
- 亡くなった方が住んでいた土地であること
- 配偶者か同居していた親族が相続していること
- 土地の330㎡以下の部分に使用できる
- 2の方がいない場合は亡くなった方と別居していても3年以上借家に住んでいる親族
- 相続税の申告をすること(必要書類有り)
4. 居住用財産の買換え特例
- 2023年12月31日までの居住用財産の譲渡であること
- 売却金額が1億円までであること
- 前年の1月1日から譲渡した年の翌年12月31日の間に買い替えをすること
- 購入者が居住するための土地建物(マンション含む)であること
- 床面積が50㎡以上かる土地面積が500㎡以下であること
- 一定の耐火建築物でない時は、建築後25年以内もしくは新耐震基準に適合するものであること
- 耐火建築物でない場合は、建築後25年以内であるか、耐震基準に適合することを証明されたもの
5. 10年超所有している場合の特例
- 不動産を10年超所有していること(故人が取得した日)
- 確定申告をすること
- 2年以内にこの特例を使用していないこと
- 居住用財産の買換え特例を受けていないこと
6. 相続・空き家の3,000万円控除の特例
- 故人が一人で住んでいた家であること
- 昭和56年5月31日以前に建築された「戸建」であること
- 相続から売却まで空家であったこと
- 耐震基準を満たした建物、または更地であること
- 相続発生から3年経過する日の年末までの売却であること
- 売却代金が1億円以下であること
- 購入者が親族・夫婦等の特別な関係でないこと
- 確定申告をすること(必要書類有り)
(参考:財務省HP参照)外部リンク
複雑な使用要件・併用と必要書類の問題
専門的な相続不動産売却の知識があることでお客様に残るお金は数百万円の違いが出ることもあります。
正直なところ、自分が使えるのか・使えないのかは、いろいろなサイトや税務署に連絡して勉強しても、いざ本当に使えるのかは不安ではないでしょうか。
そんな時に、弊社は税理士の先生方と連携をして使用できるのか、もしくはどうすれば使用できるようになるのかをお客様のお話を聞きながら考えていきます。
使用要件や併用ができるものとできないものがありますので、必ず使えるとは言えませんが、使えるのに使わないお客様が多いのも現状です。
また、確定申告をする際に必要な書類集めもかなりの労力とストレスを抱えることになり、準備の仕方を間違えてしまうと使用できなくなってしまうこともあります。
難しい問題が多く自分では不安なことだらけの不動産売却になります。自分で解決しようと頑張るのも良いことですが、失敗をしないためにもぜひ当社にご相談いただきたいと思います。
知らないと約760万円も損する可能性があります!(内部リンク コラム)